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| 2003.08 MCRJ ニュースレターより |
| オックスフォードの新型ミニ生産工場を見学して (MCR マガジン2003 年7 月号P.31-32 より) バジル・ウェールズ 遅れに遅れた、新型ミニ生産ラインの公式工場見学がようやく実現し、XWAST (元ワークスとST レジスター=バジル・ウェールズ氏が主宰している)のエンスージャストたちはこの見学の最初の優先権を与えられた。まずはじめの歓迎では、新型ミニ生産に関する足跡の統計発表とともに、BMW 全社の業績報告がなされた。現在の従業員数は4,500 名で、この人数で2001 年末までに42,395 台の新型ミニを生産し、2002年度には160,000 台近くを生産。そのうち35,000 台近くが英国内のディーラーに出荷され、25,000 台が北米、23,000台がドイツ、そして日本とアジア地域には9,700 台が出荷された。一日2 交替制で、週末も交替勤務で動かし、新型ミニを販売する世界60 カ国からの需要に応えるべく日当たり580 台から600 台の生産を維持しており、将来さらに多くの市場への対応が計画されている。最近では「スタンダード」カーでさえかなりの仕様が装備されているが、今や200 種類ものオプションからの選択が可能で、その中でも生産ラインにとって最も挑戦的な内容が、黒または白という対照的なルーフカラーの塗り分け生産である。このために黒、白別々のマスキング施設を必要とし、これが特徴でもあるクーパー仕様を含む、全体の70 %がこの対象となるため、この工程は非常に忙しい。 続いて上映されたPR フィルムでは、全てのBMW 工場の案内と、2 輪用エンジンを基礎とした航空機用エンジンによる創業からの発展の歴史に始まり、少し強調し過ぎた感もある巨大なラジエーターグリルを持つ、最新型のロールスロイス・ファントムまでが紹介された。短時間であったが、見学バスによるホワイトボディ置場は風雨から守られており、このボディパネルはスウィンドンとソリハルから自動的に同時に搬入されてくるのであるが、このクラス随一の強固なボディシェルをもたらす由縁の、高度に精密なスポット溶接が施される。繰り返すようだが、このことがこのクラスで唯一、最も重要なNCAP 安全基準の4 スターを達成したことに貢献しているのだ。ボディからドアが外された工程では、46 台のカメラのガイドによって24 台のロボットが、わずか3 名のオペレーターの下で、92 秒毎に380 箇所のスポット溶接を施している! 傷 つきやすいパネルの多くは、その寿命を延ばすために亜鉛コートされた素材で成形され、最も重要な塗装工程に入る前に最高品質が得られるよう、職人の手によって何度も繰り返しチェックを受ける。最終ホワイトボディの日次監査は4.5 時間におよび、通常の最終ライン監査は日当たり7 時間が割かれる。 防塵性を考慮して塗装工程はツアーに組まれていないが、地元への公害に対する配慮は特筆すべきものがあり、建物を通過した際にも厳格な健康安全基準が維持されていることが確認できた。最新の水上輸送方式の塗装ラインがその管理を容易にしており、強くて色褪せしにくい塗装を実現しているものと思われる。これは60 年代の塗装やクラシックミニの塗装とは大きくかけ離れており、塗装ロボットの導入以前は当り一面に吹き散らしていたものだ。今日では、適切な補助を確実にするために人間のアシストが必要とされるような場所には、ドアシャッターのようなものが備えられた区域が存在するが、仕上げ工程に関しては「オレンジの皮むき効果」に似て、一度セッティングが決まれば、あとはほとんど無人で行なわれる。最近ではシルバーが世界市場から最も発注される塗色であるが、英国においてはいまだにレッドが最も人気があるように思われる。BMW の中には、この理由が分らない人々もいるに違いない!(ワークスミニクーパーがレッドカラーであったということを=編集部)メイン組立工場へのバスによる短時間の見学では、最初にフロントとリヤのサブ組立を見た。ここでは23 種類もの異なるホイールとタイヤをセットしたものが、長大なアッセンブルラインの向こう側の奥から、様々な納入業者によって配達されてくる。サブアッセンブルとして届けられる数多くのユニットが、「ティア・ワン供給業者」として知られる業者からのものであることは、非常に注目すべきことであった。(tier one とは一次下請け業者、tier two は二次下請け、つまり孫請けのこと。自動車関連の納入業者で、tier oneになることは並大抵ではない=編集部)しばしばこのような会社は、様々な製造メーカーからそれぞれ独自の部品を受注しており、ジャストインタイムの原則に従って、厳格な時間単位での組立、保管、出荷管理を行なっている。このような納入業者はどのようにして、不可避な事故やM40 高速道路の渋滞、近場の納入ルートなどに対処しているのか、私にはついぞ分らずじまいであった! 最初に、フロントやリヤのサブフレームのようなサブ組立品が、ホイールのハブやブレーキディスク、配管配線類、アンチロールバーなどの部品を組み込まれて、一緒に運び込まれてくる。あらかじめドアを取り払われた、回転ケージの中のボディシェルは、最初に一方の側に寝かされ、その次にもう一方の側に寝かされてボディフロアへの部品の組み付けが行なわれていく。ボンネット内部への部品の取り付けはずっと簡単である。その後、もう一方のラインに持ち上げられ、よく考えられたハサミ形状をしたジャッキの上に乗せられる。そのため、異なるオペレーター毎にその最適な高さを調整することが可能である。各作業者は、コンクリートの上に立つことによる疲労を最小限にするために、可動式のウッドフロアの上で作業を行なう。シートやダッシュボードといった重量物の組立は、コントロール・アームによって行なわれ、ウィンドスクリーンのような重要部品は、ビーズ状の密着シーラントが注意深く塗布された後、光学コントロール方式のロボットによって取り付けが行なわれる。 ![]() エンジン本体の組立プログラムの最初に、そのエンジンがメキシコのトリテック工場製であろうが、日本のトヨタ・ヤリス(ヴィッツのこと=編集部)のディーゼルエンジンであろうが、その適切なギヤボックスと補助部品がフロントのサブフレームへの取り付けの前に組み込まれる。その後、エグゾースト・マニフォールドがカタリストや数多くの重要センサーと共に取り付けられる。ボディとの合体に際しては、正確性を要求するボルト止めのために長いガイドロッドが使用される。この工程での一番の驚くべき光景は、コンプレッサーを使用しないトルクツールによる、その相対的な静粛性である。全てのボルトの締め付けは電動式工具で行なわれ、これによってより正確なトルクセッティングが監視でき、またメンテナンスも容易である。もうひとつの驚くべき特徴は、ひとつのシフトが終わっても、組立ラインやその他の工程が停止しない!ことである。異なった色の作業着が2 つのシフトを明確にしており、時間が来ると、この違う色の作業着の直が次第に工程に増加していくのである。休憩時間は食事とティーブレークで、作業区域に近接したところに数多くの休憩区域が設けられている。また一般的な作業環境は清潔に保たれており、この手の産業の環境として考えられる最良の工場であると思われる。 半完成したそれぞれのクルマには、一台ずつに個別の顧客要求内容が明示されたビルドシート(製造指示書)が付いており、これによって全てのクルマが順番通りに作られ、工場内に製造待ちで置かれたままになっていたり、買い手を待って納車ヤードにクルマが溢れているようなことは一切ない。計画された部品が正しい順番にラインサイドに到着することで、全ての部品が正しく組み込まれることを確実にしている。しかしながら私には、どのようにしてディーゼルエンジンを搭載したクルマに、ガソリン用燃料タンクを組み込まないように防止しているのかは確認出来なかった!次回の見学で尋ねなければ!全てのクルマはECU の最終プログラミングのために、充分な時間を掛けて走行テストが行なわれ、ランダムな抜取り方法によってロードテストに掛けられるクルマもある。ひとつのシフト毎に1 台のクルマがラインサイドに外され、厳しい管理基準が維持されているかどうかを確認するために、徹底的な監査が行なわれる。素晴らしいプロポーションを持つクルマたちは、遠い遠い昔にナッフィールド・エクスポーツ(Nuffield Exports =モーリス車を鉄道輸送する専門会社=編集部)が使ったオリジナルのプラットフォームから、いまも鉄道輸送される。新しい社員食堂がちょうど建設中で、これが完成すると、プレススチールカンパニー(PressedSteel Company )の役員用ダイニングルームや映画館、調理場として使われている、昔ながらの煉瓦の建物は取り壊しされて、オリジナルの工場としての面影はほとんど、或いは完全に跡形もなくなることだろう。工場の遺産をもっと記録に留めるための、ビジターセンターの拡張の可能性はある。そうなれば、クラシックミニでの競技の成功の物語なども取り上げられるのではないだろうか。決定後3 年、生産を開始してわずか2 年でドクター・ディエスが達成したオックスフォードでの新型ミニの一貫生産を考えると、今後も更なる変化と改善が実施されることは間違いのないところだ。読者は新型ミニに敢えて乗り換える気になったことだろうか? ![]() |