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| 2002.10 MCRJ ニュースレターより |
| Fine Goods 素晴らしい小物たち 今月は旧き良き時代のヘルメットをいくつか紹介する。 ハーバート・ジョンソン・ヘルメット Herbert Johnson Racing Helmet 前述の1961年当時のラリーSS区間でも、最も多く使用されていたと思われるのがこの製品。 1950年代初頭、モーターレースにおいてヘルメットの着用が義務付けされた際、主要なレーシングドライバーの多くはロンドン市内、ボンド・ストリートの帽子店、ハーバート・ジョンソンから購入したものだ。 ハーバート・ジョンソン製ヘルメットは、サーキットレースやMGでの数々の速度記録に挑戦していたコル・ゴルディー・ガードナーのための特製品として、同社取締役であったジェフリー・グレイザー(Geoffrey Glazier)によって、1930年代に開発された。 モーターレースにおけるヘルメットの着用は、1952年1月1日に初めて装着が義務付けられるまでは任意であった。ハーバート・ジョンソン製ヘルメットは、当時手に入るものの中で最も安全、かつ軽量で見栄えも良かったため、世界中の主要レーシングドライバーに好んで使用された。 このヘルメットはゴサマー或いはゴスと呼ばれる原料から製造される。ゴサマーは麻の細かい繊維から作られ、ワニスに浸して強化される。これをヘルメットの型の中でプレスし、順々に多層に重ねられて非常に強固なシェルにしていく。その後、頭とヘルメットの外側シェルとの空間を保つために、肌触りの良い本革製のヘッドバンドと紐が内部に取り付けられる。丈夫なキャンバス地の耳当てと本革製のあご紐を取り付けて完成する。 このヘルメットには庇とゴッグルの紐を保持するための本革の短い輪も後部に付いている。
![]() 写真上下:ハーバート・ジョンソン。まるでエルメスが製作したかのような趣がある。思えば両社とも、もとはと言えば馬具屋出身である。 レス・レストンGPヘルメット Les Leston GP Helmet 次はあまりにも有名なレス・レストン製グランプリ・ヘルメット。正確にはヘルメット・メーカーのエヴァ・オーク社が今風に言うならOEMで製造し、レス・レストンブランドで販売されたもの。当然、平行してエヴァ・オークブランドも存在し、基本的な構造、デザインは同一である。発売年度を特定するのは難しいが、当時のF1ドライバーの写真から推測して、1963年初頭頃ではないかと思う。 このヘルメットの特徴は、シェルが大きく切り取られた背面と、厚ボール紙の芯をビニルで覆った「はちまき」構造のサン・バイザーを備えることだ。このデザインは数年後には次世代型のジェット型に置き換えられ(下の写真)、スナップ式のプラスチック製サン・バイザーが装着された。ヘルメットの安全性に対する認識が年とともに高まり、外装材の改良とともに内部の保護材の度重なる追加によって、外形サイズは肥大化し、ついにはフルフェイス型の登場となって行く。
![]() 写真は1964年のRACラリーから。ドライバーのパディ・ホクカークはハーバート・ジョンソン、一方、コ・ドライバーのヘンリー・リドンはエヴァ・オークあるいはレス・レストンを装着している。ナイトのSSステージのため、リドンは脱着式のサンバイザーを付けていない。 よって、我々が旧いクーパー等で各種のクラシック・イベントに出場する際の「理想的なコスプレ」的見解を言うならば、1963-4年までの初期型ミニの場合は、ハーバート・ジョンソン型(レプリカも存在する)、1964-6年の中期型ならばレス・レストンGP初期型(これもレプリカは存在)、1967年以降の後期型ならばプラスチックバイザー付のジェット型、となろうか。もっとも、この手のクラシック・ヘルメットは安全性の見地から言うと、本格的な競技使用には全く用を成さず、また許可されない場合がほとんどである。念のため。 |