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| 2002.06 MCRJ ニュースレターより |
| ローバークーパー・レジスターより MCR マガジン2002年5月号から翻訳 メル・オリオーダン OAPレーシング・エンジン社のイアン・オズボーン。彼は「ミニ・セヴン選手権」1997年、1999年、2000年、2001年を征した4回のチャンピオンであり、最近では「マイティ・ミニ1.3iチャレンジ」における1位から3位入賞車の使用したエンジンは全て、彼の製作したエンジンを使用している。イアンはオリジナルのシリンダーヘッド製作だけでなく、彼がレースで使用する様々な部品の改良作業も手掛けている。 この研究と革新こそが、彼がレースシーンで常に先端をいく理由であり、MM(マイティ・ミニ)レース委員会の厳しい検査にパスし続けてきた理由でもある。 イアンの好意により、私の2つの質問に対する彼の回答をここに掲載する。まず最初は、 「インジェクション・ミニの基本メンテとチューニング」について。 貴方のインジェクション・ミニをどの程度チューンアップできるかは、実際オーナーの能力に掛かっている。コンピュータのECUモジュールは、クルマを走らせることによってセットアップされ、いろんな部品が駆動するごとにその変動要因を書き込んでいく仕組みだ。 またそのクルマの車齢によっても影響し、車検のたびにどのような点検とサービスを行ってきたかによっても決まってくる。 「キャブ・ミニの方がチューニングしやすい」というのは明らかに間違った認識である。というのは、車検時におけるエミッション・コントロール(排ガス調整)は、古いクルマには規制がゆるいからなのだ。(編集部注:英国の場合) このため、古いキャブモデルは同年式車両との比較では、インジェクションモデルよりも高いチューニングが出来るからであり、インジェクションモデルの性能が悪いからなのではない。 ECUはインジェクション・ミニの頭脳である。多くの人はECUの低い性能とトラブルの多さを非難しがちであるが、実際にはECU自体は車両からのフィードバックした内容をモニターしているに過ぎない。この情報の多くはエンジンからのものだ。もしエンジンが正しく回転していないと、ECUはこれを埋め合わせしなければならない。その結果、燃料や排ガスが調整されることになる。このことが他の部品に逆の作用を与え、エンジン全体の回転に影響する。 例えばシリンダーヘッドのゴム製のバルブステム・オイルシールに劣化や整備不良があった場合、シール性能が低下し、CATを燃焼させてしまう。こうして次回の車検時の排ガス試験に落ちてしまう。ラムダ・センサーがエグゾースト・マニフォールドにワイヤーを介して取り付けられており、排ガスチェックのためにエンジンが正しく燃焼しているかどうか(ガスが薄いのか、濃いのか)ECUに知らせる。特にSpiモデルでは、エンジンがさらに前方に寄せられているため、センサーがダメージを受けやすい。このことは通常、エンジン・マウントブッシュが正しく取り付けられていない場合に発生し、エンジンが過度に振動することにより、エンジンとバルクヘッドの間でセンサー・ワイヤーが切れてしまうことがある。 極めて頻繁に発生する問題は、信号待ち等でクルマが停止しているような時に、いきなりエンジンが高回転で回り、時にはオーバーレブしてしまうことである。これは重大な問題を引き起こしかねない。私の第一の着眼点は、パイプやガスケット周りからのエア漏れのたぐいである。繰り返し書くと、ECUはエア圧の不足という事実に過剰に反応する可能性があるのだ。 Spiモデルのエアに関するもう一つの問題は、インマニが非常に長いということによる。このことが接合部やスタッド部からエア圧が漏れてしまう可能性を高くし、インマニが正しくシールされてないと、この部分からエアを吸い込んでしまう。これもまたエンジンの異常回転の原因になる。 ステッパー・モーターももちろん、頻繁にこの原因を引き起こすが、もっともこれはモーター自体が壊れている場合だと皆は信じている。ステッパー・モーターはエンジンを始動した直後に働き、インジェクターに燃料を供給し始める。そのあと、エンジンのアイドリングを統制する。ステッパー・リンケージの部分にはスロットル・ケーブルが集中していて、ステッパーの尖った先が正しくセッティングされていない場合、これまたエンジンが異常回転したり、アクセルを戻したあとにセッティングが狂ったりしてオーバーレブを引き起こす原因になり得る。 他にステッパー・ユニットの問題個所として、ステッパー・ロッドのゴムシールがある。しばしばこれがめくれ上がって、グリース不足になる。このグリースはもちろん、ロッドがスムースに前後するために重要だ。ここで2つの問題はグリース不足と同様に、グリースが劣化して固形化している場合にもロッドの動きを妨げる。 ステッパーはもちろんスロットル本体の一部であり、エンジン部品側としてはフューエル・インジェクター(燃料噴射装置)である。多くの人はこちら側にナーバスになっている。是非これだけは知っておいてもらいたいのだが、燃料噴射装置は単にキャブを「電気的に」コントロールしているに過ぎないのだ。Spiモデルの場合、1個の燃料イン・アウト・フローを持った、1個のバタフライ型インジェクターを持っている。これは電気制御の燃料噴射を持つキャブよりも、ずっと燃料効率が高い。 Mpiモデルでは、1個のバタフライと2個のインジェクター・ユニットを持っている。これはSpiモデルよりもさらに燃料効率が良く、2つのインジェクターに対してコンスタントに燃料が供給される。 この点は書いておく価値があると思うが、しかしながらSpiインジェクターの方がボッシュ製の合金製で出来ており、頑丈で仕上げも良い。一方のMpiのインジェクター・ユニットはプラスチック製である。ここでの選択は、燃料効率を取るかそれとも部品の堅牢性を取るかということになる。 もし貴方の車両が1992年の夏前に登録されたSpiであれば、ラッキーだ。と書くとほとんどの方がこのことをキャタリティック・コンバーター(CAT)のことだと思っているが、これは車検時には法的な必要性はないのである。エグゾーストに位置するこの部分を取り去って、中間パイプに置き換えても問題なく、この方がエンジン排気効率が良くなってパワーアップする。私はこの方法を積極的に支持するつもりはないが、後期モデルからCATを撤去して馬力アップを図る方法はよく行われている。CATは非常に高価でかつデリケートに出来ており、一度取り去ると簡単に壊れてしまう。 もしCATを外すなら、エアフィルターを交換することも効果がある。 ITGやK&Nといった類は、インジェクターのエアの吸入を増大させて馬力が上がるが、同時にボンネット下のノイズも増大する! インジェクションモデルの正しいエグゾースト・セットアップをしてやることも効果的だ。 マイティ・ミニの場合、私は「マニフローLCB」や「マニフロー・バッフルボックス」「マニフロー・テールパイプ・ボックスセクション」をよく使っている。それとミディアム・ボア径のLCBと、1 7/8インチ径のテールパイプもお奨めできる。これ以上太いテールパイプの場合、ノイズが増大するだけでなく排圧も少なくなってしまう。RC-40やその同等品もお奨めだ。クーパーモデルにも装着されてきた、ジャンスピード製などの「2本出し」もOKで、極めて素晴らしい排気効率をもたらすが、排気フローが2つに分かれることでフリーフローが乱れてしまう。 排気音やルックスに関しては、全く個人の好みによるものであり、貴方が満足されればそれが一番大事だと思う。 レースエンジンを扱う場合には、私は毎レース後にシリンダーヘッドの点検をしている。もちろんこれはレースをやらないオーナーにとっては現実的ではないが、最低1年に1回、あるいは財布が許す限り、ヘッドの点検をされることをお奨めする。これをやることで嫌な振動を気にしたりする心配から開放されるし、さらに潜在的な小さなダメージを発見することで、大事に至るまでに素早く修正できたりもするのだ。 旧いクーパーに装着されていたようなダブルのバルブスプリングを取り付けてくれ、と依頼されることも多い。個人的には現代のクーパーには必要とは思えない。 新品のシリンダーヘッドに交換せずとも、ちょっとしたヘッド加工をお奨めすることがある。まず第1に、インレットバルブを大きくすることだ。これによってパワーが増大する。 第2に、スタンダードの33o径バルブのステム部分は、ツーピースで作られていてポッキリと折れやすく、しかもこれがエンジンの他の部分に埋め込まれてしまいやすい。MGバルブはソリッドからの1体もので遥かに強く、エンジンの寿命まで充分持ってくれるだろう。もし貴方が各ギヤを駆使してクーパーのエンジンを頻繁に回す方なら、バルブステムの引っ張り負荷は相当なものになる。 次号で詳しく説明するが、インジェクション・エンジンは極めて高度な改造が可能である。オーナーは改造による多額の出費と、排ガスで車検が通らなくなることに面食らってしまうことだろう。一般的に崇拝されているものの代表がカムシャフトだ。間違ったものを取り付けると、車検時に再び取り外さねばならなくなってしまう。 私がパイパーBP255をベースにパイパー社と共同開発してきたカムがある。マイティ・ミニ・チャレンジにおいて最高のパフォーマンスが得られるように開発してきたこのカムを、私は個人的にお奨めする。初期の議論では、インジェクション・クーパーの性能を最大限に引き出すためには、全ての部品を完全に特製で作る必要がある、と言われてきた。他にもインジェクション・カムと同等の素晴らしいカムを出しているメーカーもある。 私がアドバイスしたいのは、貴方が多額の出費をする前に全ての正確な情報を調べておくことだ。「また車検が近づいてきたから、部品をオリジナルに戻さなきゃ」なんてことを言わないで済むために。インジェクション車を正しくモディファイすることと、排ガスとは全く関係がないからである。 インタビュアーより: レースに関するコメントに関して、イアンは個別の電話対応はしてくれないが、彼のチューニング・エンジンはホーシャムの「ウッド&ピケット社」を通じて購入可能だ。このインタビューの後の編集作業は実に骨折りであった。本件に関しての質問は、私にコンタクトを取って頂きたい。 MCRとそのメンバーを代表して、イアンに今回の取材協力のお礼を申し上げる次第。 (編集部より:本文はあくまで英国仕様のローバークーパー各車についての記述のため、日本仕様あるいは日本の法規には一部合致しない内容が含まれています。悪しからず。) |