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| 2002.03 MCRJ ニュースレターより |
| ダウントン・ミニ・クーパーSのロードテスト 1965年9月24日号のオートスポート誌より ジョン・ボルスター 我々の誰もが、今やミニの奇跡は当たり前のことと思い込んでいる。すべてのサーキットにおいて、時速100マイル以上で巡航、或いは易々と大型車を抜き去っていくその姿には、もはや驚くべきものはなにもない。 「やれやれ!若者たちと同じようにミニが好きになってしまったよ。」とは多くのエンスージャストたちの賞賛の声。実際これらのレーシング・ミニは今や、通常はトレーラーで引かれてサーキットに到着する。ひどく喧しく扱いにくくて、か弱い老婦人が街に買い物やミルクバーに出かけたりするには極めて不適当と言わざるを得ない。週末ドライバーにとっては面白いだろうが、恐らく毎日の交通に供するには、あまりにも快適性に欠けるというものだ。 ダウントン・エンジニアリング・ワークス(株)のダニエル・リッチモンドは、これまで実に速いレーシング・ミニの製作にその有能ぶりを証明してきた。その彼が今、時速100マイルを易々とクリアし、かつ紳士の交通の足として通用するというバージョンの要望の増加に伴って、これを開発テーマとして取り組んできた。その結果は生産型1275Sと比較して、より優れた乗り心地と静粛性、スムースさ、低燃費を成し遂げることになった。 最高速度100マイルは達成したのかって? もちろん! サード・ギヤでね。 テスト車両は一見、ただのスタンダードに思われたが、路上におけるドライビングの喜びは飛躍的に増大した。この車両はフル・サイレンサーと優れたラジオを備える一方、エキストラの幅広レーシング・ホイールなどは装備されていない。標準型ホイールは素晴らしい乗り心地を提供し、僅かに向上したコーナリング・パワーは、ほんの一部の狂人的マニアだけに利用されるものに過ぎぬ。 サスペンションは低められ、25ポンド10シリングの出費によってコニ製ダンパーが装着出来る。筆者はもう1台の外見的に同様なチューニングを施された、非ハイドロラスティック・ミニもドライブしたが、そいつはスタンダード車両と同様なピッチングを体感した。内部接続を遮断したシンプルなサス・システムを持つこのクルマでは、実にフラットな乗り心地を味わう事が出来た。この、コントロール性を損なうことなく例外的な快適さをもたらす秘訣が、長期間にわたる経験に基づくものであることは、疑う余地がない。 1275Sにはオイルクーラーを必要とするが、チューニング車両にはこれが不可欠となる。価格は13ポンド10シリングだ。チューンド・エンジンの心臓部であるシリンダーヘッドは、オリジナルとの交換条件で45ポンド。吸気マニフォールドは3ポンド10シリング、これに21ポンド10シリングの追加で、大型のH4タイプSUキャブ2基が購入できる。排気マニフォールドは15ポンド、特製カムシャフトも同価格で販売されている。 軽量フライホイールとバランス取りは、クラッチ、クランクと併せて10ギニー。4ポンドの追加でコンロッドのバランス取りが出来る。エンジンの矯正、リビルド、エンジン・ミッション脱着費用合計が55ポンド。エンジンブロックのボーリングと特製ピストン組み込み工賃が30ポンド10シリングである。 クロスレシオのストレートカット・ギヤは、15ポンド15シリング。(これは安い!)この組込工賃は7ポンドである。 その他のアイテムとして、レブ・カウンターが9ポンド15シリングであるが、これはテスト車両のような素晴らしい性能とスペックに育て上げるための必需品と考えよう。 スパーク・プラグ、エンジン・オイル、ガスケット、路上テスト代を含んでの総費用は、284ポンド2シリングとなる。 これらを全て装備した結果、この可愛いクルマは高速道路以外では、まず無敵だろう。双方向で厳格に計測した最高速度110マイルは偶然だったかもしれないが、巡航速度としての時速100マイルは実用上非常に価値がある。ダニエル・リッチモンドは、私を助手席に乗せて8000回転まで回していたが、私自身のドライブではこの畏敬の念を起こさせる数値までは遠慮することにした。もしお構いなければ、3速100マイル、2速70マイル、そしてドラマチックな1速50マイルを達成することは実に容易なことだ。 この車両は、エンジン圧縮比10.8:1で、6000−7000回転時において前輪計測で92馬力、エンジン単体計測で約99馬力を発揮する。センセーショナルなトップギヤにおける柔軟性は、3000−6000回転時のトルクが80ポンド以上確保されていることの賜物であり、トルク・ピークは5000回転時の86ポンドである。 一般道において、この可愛らしいクルマは信じがたいほど安定しており、横風の影響はまるで受けないように思えた。ギヤレシオは高く、3.44、4.27、6.13、そして8.84:1と互いに接近している。にもかかわらず加速テストにおいては、ドライな路面における強烈なホイールスピンが我々の邪魔をした。グラフがそれを物語っているが、時速60マイルが7.8秒、90マイルが21.8秒というのは驚くべき数値である。実際高速道路において、このクルマは私にセンターラインを跨ぐことを煽ることがしばしばであった。ダウントン・ミニでは、スポーツ走行していない一般車両を抜き去ることは実に簡単である。 この可愛いマシンのハンドリングはミニの中でも最上のものだ。ブレーキ性能もダウントンならではの秀逸さを持つ。恐らく最も目を見張る数値は、このクルマの燃費だと思う。 極めて速いツーリング速度で、何と40ミリ/グラムを記録してしまった。早朝4時半のがらがらに空いた路上において繰り返し行った、加速テストの数値採取を含む総合燃費でさえ、27.3ミリ/グラムという信じがたい好燃費であった。 この良くしつけられたツーリングカーは、ほとんど全てのスポーツカーよりも楽しい。驚くべきスムースさはノイズとは無縁、通常はもっと金の掛かる範疇のGTカーでの速度域で、楽に巡航できるのだ。これより面白いクルマはないし、第一スムースなエンジンは、ラフなそれよりも長持ちするというものだ。 |